石の内部で光が散乱し、表面に青白い光が浮かぶ。この現象は「シラー効果」と呼ばれ、フェルドスパー(長石)の薄い層が光を干渉させることで生じる。
インド、スリランカ、ミャンマーが主な産地。とくにインドでは古くから「月の光が固まった石」として扱われてきた。ローマ時代の博物学者プリニウスも、月の満ち欠けに合わせてこの石の光が変化すると記している。
科学的な根拠はない。だが、見る角度によって移ろう光が、それを信じさせるだけの説得力を持っていた。アール・ヌーヴォーの時代、ルネ・ラリックがジュエリーに多用したことで、西洋での評価は一気に高まった。月光を閉じ込めたという美しい誤解が、この石をいまも特別な場所に置いている。